あなたは運命の人

料理を食べ終わると、美優はトイレに行った。


「ねぇ、携帯の番号交換してくれません?」

各務が俺に話しかけてきた。

「何で?」

目を鋭くさせて返すとプッと笑われた。
どっちが歳上だか分からない。

「俺の彼女の心配しちゃ悪い?」

そう言われたら何も言い返せない。

「何かあったら連絡よろしく」

絶対に各務には頼りたくない。


各務が帰った後、美優と話をした。

「同棲二日目に違う男を家に入れる女いると思う?貴女のお母様にこの結婚を疑われてしまう可能性もあるし、それに此所は俺の家でもあるんだけど」

醜い嫉妬心から、自分を抑えるために使っていた『僕』を忘れてしまう。

「アイツを此所に二度と入れないで」

そう告げると美優は肩をビクつかせて真っ青になった。

「勝手なことをしてごめんなさい!」

美優は勢いよく頭を下げた。

きっと美優は俺が協力しているから謝った。
俺の気持ちには一ミリも気付いていない。