あなたは運命の人

そしてベッドが一つだけだとも思わなかった。
一緒に眠ることになることも。

小花柄のドレスワンピースのパジャマ姿を見た時は理性を抑えるのに必死だった。


「じゃあ君が良ければ、おばさんには毎週日曜日に会いに行こう」

美優に提案した。
家を出されてしまったから会う機会を作ってあげたかった。

「桐人君はお休みの日に大丈夫ですか?」

俺を気遣ってくれる美優に顔が勝手に綻んだ。

「僕達が出来る範囲で、おばさんに出来ることを二人でしていこう」と伝えて俺も風呂に向かった。

風呂を済ませてリビングに戻ると「ひっく」と啜り泣く声が聞こえてきて胸が苦しくなった。

美優はソファで座ったまま泣いていた。
泣き止んで欲しくて彼女を抱き締めた。
背中をトントンしたり、撫でたり、摩ったり、必死に宥めた。
俺に出来るのはこれくらいだから。

五分くらいで泣き止んでくれてホッとした。
十分程だろうか、抱きしめ続けていたら寝息が聞こえてきて驚いた。

寝顔を覗くと長い睫毛に涙が幾つか絡んで光っていた。

美優を守れるのが、俺じゃないことに心から悲しくなった。