あなたは運命の人

「えっ!?そうなの!?そんな重要な仕事をやらせてもらえるなんて楽しみ!」

だが目の前で両手を合わせてはしゃいで喜ぶ美優に抑えていた嫉妬心が溢れ出て、自分の目が据わっていくのを感じた。


「君は美優さんと結婚の意思があると?」

早く会話を終えたくて、早速本題から出した。
ポカンとする二人。

「い、いやいや、俺達はまだそんな段階じゃねーから!」

しどろもどろな様子で慌てる各務。

お前、大企業の御曹司だろ。
親からだって交際する女性のこと、口煩く言われているはずだろ。

それなのに美優との結婚は視野に入れていない。

この男じゃダメだ。


美優をラウンジから連れ出して話をした。
それなのに、


「桐人君のお父さんの会社のことは私からも父に頼みます。だから心配しないで下さい……。桐人君は父に恩義なんて感じなくて良い……私にもう、構わなくて良いんです。では」

俺を真っ直ぐ見ずにそう言って美優は頭を下げて帰ろうとした。