「おはよう、澄野くん!」
「キャーー! 真宙くんだ〜!」
真宙くんと並んで校門近くまでやって来ると、真宙くんはあっという間にファンの女の子に囲まれてしまった。
真宙くんは若干苦笑いで、あたしにひらひらと手を振ってくれる。
そんな彼に、あたしも手を振り返す。
やっぱり学校に来ると、思い知らされる。
真宙くんは、人気者だってこと。
彼はあたしの学年で、王子様と呼ばれている一之瀬くんに次いで、人気があるから。
いま真宙くんとゆっくりと挨拶を交わせたのだって、ほんと幸運だった。
だけど……目の前で好きな人が、沢山の女の子に囲まれている姿を見ると、胸が締めつけられる。
ケーキ屋さんで、お客さんと店員としてどれだけ仲良くなっても……。
学校では、真宙くんがとても遠くに感じる。
さっき彼と挨拶を交わしたのが、嘘みたいに。



