「ん? 真宙くん。どうしたの?」


「七星が、『ほっぺが落ちちゃいそう』って言ってたから。落っこちないように」


あっ、なるほど。それで、あたしの頬を手でおさえてくれたんだ。


「ねぇ、七星。さっきから気になってたんだけど。口の端にクリームがついてるよ」


真宙くんが、自分の口の端に指を当てて教えてくれる。


「えっ、ほんと!?」


あたしがそっとクリームを指で拭うと、真宙くんは少しのためらいもなくあたしの指をぺろりと舐めた。


「……っ!」


あたしの肩が、思わずぴくっと跳ねる。


「んー甘い」


彼の屈託のない笑顔に、胸が高鳴る。


「もう! 真宙くんったら……ここはカフェだよ!?」


「分かってるよ。だけど、カーテンで仕切られてるから、他の人には見えないって。だから、少しくらい大丈夫だよ」


……チュッ。


真宙くんは、あたしの唇に触れるだけのキスをした。