一番好きなのは、キミだから



「い、いかがでしょうか?」


「ありがとう、七星ちゃん。キミに書いてもらえて、嬉しい。きっと奈紗も……妹も喜ぶと思う」


七星ちゃんが心を込めて、妹のためにメッセージを書いてくれた。

そう思うと俺にとっては、妹の誕生日ケーキが去年よりも特別なものになったように感じる。


きっとそれは、奈紗にも伝わるはずだ。



***



帰宅後。


「やったぁ。誕生日ケーキだー!
" Happy Birthday なさちゃん " って、書いてあるー!」


自身の誕生日ケーキを見た瞬間、目をキラキラと輝かせ、あどけない笑顔を見せる妹の奈紗。


「真宙兄ちゃんありがとう……って、お兄ちゃん!?」


夕食後。冷蔵庫から誕生日ケーキの箱を取り出し、テーブルの上に箱からケーキを出すなり俺は、ケーキを……いや。


正しくは、七星ちゃんが書いてくれたメッセージ入りのチョコプレートを、何度もスマホのカメラで撮影した。


「お兄ちゃん! さっきから何回、ケーキばっかり撮るの?! そんなんじゃ、ケーキいつまでたっても食べられないよ!」