「ねぇ、新川さん。せっかくだし、チョコレートのプレートにメッセージ書いてみる?」
「え!? いやいや、あたしまだ新人ですし。そこは、笹木さんが」
七星ちゃんが、両手をブンブン振る。
「新川さん、たくさん練習してたでしょう?
最初の頃と比べたら、随分と上達しているから大丈夫よ。何事もやってみないと、いつまでも慣れないからね」
「は、はい。頑張ります!」
笹木さんに促された七星ちゃんは、チョコペンを手にする。
そしてペンを握る手を少し震わせながら、チョコレートの四角いプレートに文字を書き始めた。
真剣な眼差し。仕事中の真面目な七星ちゃん……良い。つい見とれてしまう。
そして、しばらくして……。
【Happy Birthday !
なさちゃん♡】
と、七星ちゃんは俺のリクエスト通りに書きあげてくれた。しかも、ハートまで。
チョコペンを握る手が震えていたわりには、文字は歪んだりしていない。
ていうか、普通に上手い。そして七星ちゃんの書く字、可愛い。
七星ちゃん……笹木さんも言っていたけど。きっと、たくさん練習したんだろうな。



