真宙くんと、両想いになって数日が経った。


この日は土曜日で学校が休みだから、本来ならば真宙くんと初デート……と言いたいところだけど。


今は学校の期末テスト直前ということで彼とふたりで話し合い、デートのお楽しみはテスト後に取っておこうということになった。


そのほうが、苦手な勉強もいつもの何倍も頑張れそうな気がする。


「ありがとうございましたー!」


そんな中であたしは、朝からいつものようにバイト先のケーキ屋さんにいた。


「新川さん。テスト前なのに、今日も来てくれてありがとうね」


笹木さんが眉を下げ、申し訳なさそうに言う。


「いえいえ。大丈夫ですよ」


ここまで色々あったけど、最近はケーキ屋さんでのアルバイトが楽しくて。

あたしが自分から希望して、シフトに入れてもらった。


大好きなケーキに囲まれているだけで、幸せな気持ちになれるんだよね。


「笹木さん。今日はバイト、午前中だけって無理言ってすみません」

「ううん。何言ってるの! 高校生は学業が第一なんだから。気にしないで、テスト勉強を頑張ってね」


──カランカラン。


「いらっしゃいませー」