「あぁ、痛たたた!」


男の人に手を捻り上げられた森山さんが、叫び声をあげる。


「あのなぁ……俺は、順番を待っていたことに腹を立てているんじゃない」


うそ……この人……。


あたしは、男の人の顔を見て目を見開く。


「さっきから七星ちゃんが嫌がってるのに。いつまでも触るのをやめないあんたに、俺は腹が立ってんだよ! このセクハラ野郎が!!」


真宙くん……!


まさかの後ろに並んでいたお客様は、真宙くんだったのだ。


「それと……その子、俺の彼女なんだけど」


え!?


「だから、勝手に触らないでくれます? ていうか、これからはもう二度と七星ちゃんにこんなことしないでもらえますかね? おにーさん」


「はぁ? お前、さっきから何言ってんねん。新川ちゃんが、お前の彼女とか……デタラメ言うなよ」


「え? デタラメなんかじゃないし。俺らこう見えてめっちゃラブラブですけど。信じられないのなら、今ここで証明しましょうか?」