「……あのー、順番まだっすかー?」
すると、突然後ろから声がした。
うそ。いつの間にかお客様が来てたんだ。
「俺、さっきから待ってるんですけどー。前のお客さん、早くしてくれませんかねぇ?」
そう言うお客様は、身体が縦にも横にも大きな森山さんの真後ろに立っているからなのか。
背の低いあたしからは、お客様の顔がよく見えないけれど……低い声からしてこれだけは分かる。
後ろのお客様が、男の人だということと……
かなりイライラしているってことが。
「あー悪い悪い。すんませんなぁ、待たせてしまって。オレ、お会計してもう出て行くから」
「本当に悪いよ、あんた。自分が何してるか分かってんの?」
そう言うと、後ろにいた男性のお客様が突然、レジの前まで出てきて……
あたしの腕を触る、森山さんの手を思いきり掴んだ。



