「え!? ちょっ、と……離してくださいっ!」


「ええやん、見てるだけやって」


あたしの腕を掴む森山さんの手の力は、緩むどころかむしろ強くなる。


「一応言っとくけどなぁ……オレこういうこと、誰にでもしてるんとちゃうよ? 新川ちゃんやから」


あたしの腕を掴んでいないもう片方の森山さんの大きな手が、あたしの腕をスーッとなぞる。



「うわ。新川ちゃん、肌もスベスベやなぁ」


森山さんがニヤニヤしながら、あたしの腕を繰り返し触ってくる。


「オレなぁ、新川ちゃんのことが好きやねん。いつも、頭の中で君のことを考えてる」


嫌だ。嫌だ。


腕を掴まれた上に、勝手に触られて。


「いつも、頭の中で君を抱きしめたり、キスしたり……想像して楽しんでる」


……気持ち悪い。この人に好きって言われても、ちっとも嬉しくない。


笹木さんたちに気づいてもらえるように大声で叫びたいのに……こんなときに限って、なぜだか声が出ない。


嫌だ、嫌だ。どうしよう……!