一番好きなのは、キミだから




あたしが黙々とケーキとプリンを箱詰めしていると、何やら視線を感じる。


思わず顔を上げると、森山さんが瞬きすることなくあたしをじーっと見ていた。


え、嫌だ。


なんだか、視線が怖いんだけど。


人のことを、そんなにじっと見ないで欲しい。


でも、もしこれが真宙くんだったら……。


以前、真宙くんが来店した際に今の森山さんと同じように、真宙くんがケーキを箱詰めするあたしのことを見ていたときのことを、ふと思い出す。


──『俺は、真剣な顔の七星ちゃんが可愛くてつい見てたんだけど……ダメだった?』


好きな人からだと、たとえどれだけ見られていても、全く嫌じゃなかったのに。


当たり前だけど、同じことをされても相手によって全然感じ方が違うんだ。


って、やだ。あたしったら、こんなときに真宙くんのことを思い出すなんて……。