「うっ、うん」


今のあたしは、そう返事するので精一杯だ。



……ねぇ、真宙くん。


いくら寒いからとはいえ、後ろからあたしを抱きしめてきたり。


いきなり鼻先にキスするなんて。


一体、どういうつもり?


真宙くんはあたしのこと、どう思っているの……?



雨足は弱まるどころか、どんどん強くなる。


雨が止むまで……あたしの心臓もつかな?


だけど、真宙くんとこうしていると不思議と心地よくて。


キスされた理由なんて、今はもうどうでもよくなってきた。


この雨がずっと、止まないでくれたら良いのにとさえ思ってしまう。


ずっと、真宙くんとこうしてくっついていられたら……。


背中に真宙くんの温もりを感じながら、あたしは降りしきる雨を見つめていた──。