あれ? 真宙くん、中条さんと一緒に行かないの?
どうしたんだろう?
「七星ちゃん。今、他にお客さんいないみたいだから。少しだけ話をさせて?」
「うん?」
「仕事中なのに、ごめんね?
ほんとは、ナオの誕生日ケーキ。最初は、他の店で買う予定だったんだけど……」
真宙くんがあたしの耳に顔を寄せ、囁く。
耳に低い声が響いて、妙にドキドキしてしまう。
「俺が、休日も七星ちゃんに会いたかったから。ワガママ言って、ここに来ちゃった」
え?
「だから今日、キミの顔を見られて良かった。ほんと七星ちゃんって、いつも頑張っててえらいよね」
真宙くんの手が、ポンポンとあたしの頭を優しく撫でる。
「……っ」
不意打ち……。
「ちなみにナオは、男友達だから」
男、友達……。
「誕生日会は、俺の他に朝陽も来るし。
女子は中条だけだから、大丈夫だよ」
なんだか、あたしがモヤモヤしていたの、真宙くんに見透かされていたみたい。



