「こーたろぉぉ…」


一応伝えておくが、俺の名前はコウタロウではない。


「はいはい、今日はどうしたの…」


ぐずぐずと、鼻を啜って項垂れているこの子は

俺の幼稚園児の頃からの幼なじみ、李衣。




ちなみに歳は俺の1つ下。


大袈裟に傷ついたように泣いてはいるが、こうして上の学年の教室まで押しかけて来れる程の度胸を持ち合わせている。


繊細なんだか、そうじゃないのか分からないな。


とりあえずこうなってしまうと構わない方が面倒なため無難に頭を撫でておく。



「…ゆなから嫌われちゃったあ」


ゆな…誰だっけ。


なんか最近急に仲良くなってご飯を食べに行ったりしてた子かな?


李衣が泣きついてくるのはもはや恒例行事だが、毎度毎度出てくる名前は聞き覚えのないものばかり。


調子が良くて初対面の人とすぐに距離を詰める李衣だが、かなり李衣自身も気分屋で、かつ相手にも恵まれない。



「仲良くなれると思ったのに」


「毎回急ぎ過ぎなんじゃないの?友達って気づいたらなってるようなもんだろ」


大人しく撫でられていた李衣だが、俺の言葉に不機嫌そうに顔を上げる。


「こーたろには分かんないよ!」