田舎猫と都会猫、のはなし。


「儀式の準備は?」
「できました。あとは、到着を待つだけです。」
「よろしい、この時を待っていたのよ。長い間…。」

バターン

扉が突然開き、ひとりの男が駆け寄ってきた。

「飲ませてくれ。お願いだ、飲ませてくれ。」

黒服がバタバタと、何人か追いかけてきた。

「大変失礼しました。すみません、マダム。こんなところまで、入ってきてしまって。ほら、こっちにきたら、あげるから。こっちに。」
「ほんとだな、飲ませろ!すぐに!」
「こら、暴れるな。」

両腕を抱えられて連れていかれる男。

「…ちゃんと管理してくれなきゃ、困るじゃない。」
「処理を施してもアレじゃ、もうダメかもしれませんね。」
「そう、最悪は殺処分ね。仕方ないわ。貴方達も、そうなりたくないでしょう?」
「御意。仰せのままに。」

「…処理を施してないのは、アナタとあの小猫ちゃんだけ、だもの。希少なのだから、大事にしないとね。」

バーテンダーの頬を指でつつきながら
マダムは言った。