デートのあと、また日常はいつものように繰り返された。
一緒に起きてご飯を食べ
仕事に行き
帰ってくる。
そのローテーション。
違うのは、僕が描く絵に
遊園地の思い出が増えたこと。
「ほんと絵が上手だね。」
「僕はずっと描きたかったんだ。
でも絵を描くと、家のものが怒るんだ
。そんな、一円にもならない無駄なことをするなと。そんな暇があるなら働けと。
隠れて夜中に描くと、早く寝ろとひっぱたかれ、取り上げられる。
それでも僕は描きたかったから。
こっそり描いて練習してた。
もう怒られなくて、済むから嬉しい。」
僕は、あなたを描くよ。
大好きなあなたを。
働いているうちに
仲良くなったシェフが、
「あなたは鼻がいいし、センスがあるよね。もっと教えてあげるよ。」
僕は準備だけではなく、
盛り付けや飾り付けを手伝うようになった。
お店に飾る装飾やカードなども
手伝うようになり、
僕はお店のスタッフさんの
肖像画を描いたりした。
お店の壁に僕の絵が並ぶと
(その描かれたスタッフさん贔屓でもあると思うけど)
お客様は喜んで買いたいと言ってくれ、描くだけ、よく売れた。
「シェフのお陰だよ。僕に教えてくれたから。」
「いや、もともと君のセンスがよかっただけだよ。」
シェフは頭をかいて言った。
少しずつお店にもなくてはならない
存在として僕は、認められてきたんだ。
僕はシアワセ、だ。



