田舎猫と都会猫、のはなし。


みんなが慌ただしく
仕事をしている間、
僕は事務所兼控え室のソファで
ひとり
退屈しのぎに、絵を描いていた。

お客様は、まず大広間で演奏や
お食事など楽しんでもらう。

いまの時間は、お客様も個別に
くつろぎタイムということらしい。
(詳しくはわからないけど、
ひとりひとりスタッフが対応して
個別のお部屋でくつろいだり
するらしい。)

食事時間も過ぎて、
僕は食器洗いも終わってしまったし、
少し暇を、もて余していた。
僕はわりと絵が得意で
似顔絵なんかも描いたりした。

彼の姿とか…
僕と彼が一緒にいるところなんかを
想像して。
この先まで…いけない想像して。
想像なら…いいよね?

そこに都会猫がやってきた。
「何を描いているんだい?」

僕は恥ずかしくて背中に隠した。

「秘密。」