田舎猫と都会猫、のはなし。


ひとしきり泣き終えたけど、
離れたくない。
このまま抱き締めていて
もらいたい…

あなたの胸の鼓動が聞こえて
すごくぬくもりを感じて…

でもずっとそうしてる
わけにもいかないし、
彼も疲れてるだろう。
迷惑だと思い、体を離す。

「落ち着いた?
ひと風呂浴びて、飯でも喰うか?」
と僕の頭を撫でながら、彼は言う。

「うん。」僕はうなずく。
「じゃあ入ってくればいい。
着替えは俺のでよければ。
それとも一緒に入る?」
僕は真っ赤になった。
「…冗談だよ。」

大浴場みたいな
広いお風呂場を借りて
シャワーを浴びる。
ジェットバスや
サウナ室まであるみたいで。

大きな浴槽に浸かる。
気持ちよくて
疲れがとれるよう。
最高。

食事も用意してくれた。
ペペロンチーノ。

「簡単なものだけどね。口に合うといいけど。少し辛いの大丈夫?」
「大丈夫。特に好き嫌いがないし。
あなたは?」
「俺も。大体は喰えるよ。」
「じゃあ、おんなじだね。」
「そうだね。」

本当はそんなに辛いのは
得意じゃないけど、
なんだか大人扱いされたみたいで
嬉しいのとお腹が空いていたのもあって
ペロッとたいらげてしまった。

仕事で疲れているだろうに…
「美味しかったよ、ありがとう。」
(今度は僕が作ろう。お世話になるんだし。)

「僕、お皿洗うよ。」
「そんな心配しなくて大丈夫だよ、自動食洗機があるから。そこに入れておけばいいし。」

自分で家事をしてる風でも
ないみたいだし、
自動だったり定期的に家事をしてくれるもの(サービス?)が、あるのかもしれない。
それに住んでいるのが、
高級ホテルのようだしね。


「さ、歯を磨いて寝るんだ。」
「うん。」
「イイコだ。」

彼は、僕の頭を撫でる。

(ふたりでお揃いのパジャマを着て、歯を磨く。なんか嬉しい。)


僕がソファで寝ようとすると

「こっちに来る?」

彼は肩肘をついて
ベッドの布団をめくって
ひとり分の空きスペースを作って
手招きする。

「ええっ!?そんな…。」

「襲わないって約束したろ?
心細いかと思ってさ。遠慮するなよ。」

彼は微笑んだ。

僕、遊ばれてるのかな…。