郁人も私も、家族のことで色々な悩みがあって。

それは決して他の人には共有できなくて。

あまり良いことではないのに、私と郁人だけの秘密ができた気がして少し郁人に近づけたかなって、そんな風に感じていた。

私も郁人に家族の話を打ち明けてからは、お母さんや竜也さんと会話をするように努力していて。

今では時々だけどお店が休みの日は3人で外食することもある。

そんな日々を過ごしていたある日、お母さんに軽い気持ちで聞いたこと。

「お母さんと竜也さんは今後どうするの? お母さんは再婚とか考えていないの?」

「帆乃香、実はね、竜也さんからプロポーズされてるの。でも、あなたが高校を卒業するまでは結婚できないって断ったの」

「どうして? 私は2人が結婚してくれたら嬉しいよ。私の卒業なんて待たないで、すぐに結婚しなよ」

そんな会話の後、お母さんと竜也さんは結婚に向けて話し合いを持つようになって。

2人が結婚に向けて進み出したことが嬉しかった。

そのことを早く郁人にも教えたくて、夜に郁人へメールした。

≪明日お知らせしたいことがあります。お昼休みに一緒にご飯食べて欲しい。その時話したいけど、ダメかな?≫

郁人からはすぐに返事が来て。

≪いいよ。いい知らせ? 楽しみにしとく≫