翌朝、高校の最寄り駅で電車を降り改札へ向かおうと歩き出した時、改札へ向かう人の波を邪魔するようにホームに立っている1組のカップルがいた。

どうも男が女に告白しているらしい。

こんなラッシュ時間に迷惑な奴らだと思いながら横目で見ると、女と目が合った。


上野帆乃香だった。


帆乃香は俺と同じ高校の制服を着ていた。

まさか同じ高校だとは知らなかったから驚いた。

そして話している相手は髪の色を茶色に染めて、南高の制服を着崩している。

横切る時に男の顔をチラっと見て、なんとなく嫌な予感がした。

まさか、昨日のヤツらの一人なんじゃないかって。

俺は改札を出ずに、遠目からしばらく帆乃香と南高の男を見ていた。

2人は人混みを避けるようにホームの端により、何かを話している。

帆乃香が柔らかい表情をしていたから昨日のヤツじゃないんだろう。

だったら俺がここで待っていても意味がないか。

俺は駅を離れて学校へ向かった。

けど、あの茶髪の男がどうしても気になって、学校の玄関で帆乃香を待つことにした。