嫌な予感的中、というやつだろうか。

今の時代なら、珍しい名前のオンパレードになってきているが、当時は紫苑という名前はあまりなく、おまけに私は、容姿が明らかに純粋な日本人ではないし、今でこそもう直ったものの、当時は田舎の訛りもかなり強かった。

辛うじて、勉強だけはできたけれど、それが特に男子には余計に癪だったのだろう。

クラスメイトの男子たちに、執拗にからかわれ、訛りを真似されたりして、私の新生活はいいスタートとは言えなかった。

女の子で仲良くしてくれる子がいなかった訳でもないけれど、いじめに関しては彼女たちは傍観者だった。

いつも、道哉だけが私を助けてくれた。

普段はとても温厚な道哉だが、しつこくいじめる男子がいると、その相手と大喧嘩になり、相手が特に粗暴な子のときは、殴り合いの喧嘩にまでなることもあった。

私は涙ながらに何度も謝りながら、道哉の傷の手当てをした。

「紫苑ちゃん、そんなに謝らなくていいんだよ?」

そう、いつだって道哉は優しかったのだ。

子供の頃から、今もずっと変わらない優しさ…。