唯一の肉親であり、最愛の母をガンで亡くしてから、早3年。

私は、母が突然末期ガンとわかるや否や、勢いで床屋に飛び込み、長かった髪をスキンヘッドにした。

その頃は、精神的にもかなり不安定で、夜毎、泣きながらケアキャップを作っては、母にプレゼントしていた。


私のしていたことはすべて、単なる独善的な行為だったかもしれない。

しかし、そうでもしていないと、完全に心が壊れてしまいそうだった。


「本当に素敵な帽子ね…」

そう言って、母はいつも笑ってくれた。



しかし、母はその帽子を被る間もなく、この世を去った。

治療で髪が抜けるよりも先に、母の命の灯が消えてしまったのだ。