おそらく激しく闘ったのであろう闘いの跡が残るぐちゃぐちゃになった街並みに大量に血を流して倒れているヘンリーたちの姿が見えたからだ。
テオは本当にヘンリーたちを殺す気なのだ。
「テオ!もうやめて!」
この場で唯一立っていたテオに私はやめるように叫んだ。
「…あぁ、咲良、やっと帰って来た。おかえり」
大量の血を浴びているテオが私の姿を見て満足そうに笑う。
その姿に私は恐怖を感じた。
これがテオ…いや、魔王本来の姿なのだろうか。
「ヘンリーたちをもう傷つけないで!あと話が全然違うことになっていたのはどう言うつもり!?説明して!何で人間界じゃなくて閉じ込められていることになっているの!」
それでも私は気を強く持ち、テオに叫んだ。
恐れて何も言えないようではこの問題は解決できない。



