「何一つ意味がわからないだろうが、どうか俺の話を聞いて欲しい」
ヘンリーがこちらを向き、真剣な表情で私を見つめる。
その表情にはどこか焦りも感じられた。
本当に時間がないようだ。
「まずは俺たちのことだ。俺たちはお前と契約をしている悪魔だ。お前の願いならどんなことでも叶える絶対の味方だと思って欲しい」
「…うん」
「そして今の状況だが、お前は人間界へ帰れていないどころかテオ…魔王のギフトによって作られた偽りの世界に閉じ込められている上にこれも魔王のギフトによってだが記憶を消されて改ざんさせられている」
「…うん?」
「咲良、お前の願いはただ一つだったな?人間界へ帰りたい、その為にはまずここから抜け出す必要がある」
「…なるほど」
意味は全くわからなかったが何故が彼の話は信頼できると思った。
ここは私が帰る場所ではなかった。
いや、ちょっと、待って。



