また知らないはずなのに知っている聞き慣れた声だ。
声の方へ振り向こうとすると、その声の主はいきなり私に抱きついた。
「咲良ぁ…、会いたかったよ。咲良ぁ」
感極まった声でそう言っている彼はクラウスだ。
「「「…」」」
クラウスの後ろからヘンリー、ギャレット、バッカスが現れた。
皆感極まった顔でこちらを黙って見つめている。
彼らが誰かわからない。
それでも何故か彼らの名前だけははっきりわかる。
「…クラウス。気持ちはわかるがそこまでだ。時間がない」
ヘンリーはすぐに冷静な表情に戻って私に抱きついていたクラウスの腕を掴んで剥がした。
クラウスは「…はーい」と不満げにしているがすぐに私から離れる。



