「エドガー…」
「…咲良っ、お前!」
彼の名前…おそらくエドガーの名前を口に出してみると彼は驚いたように顔を上げた。
彼はエドガーだ。
「記憶が戻ったのか!?俺が誰だかわかってんのか!?」
「…エドガーだよね。でもごめん。それ以上は…」
彼の様子からして私は何かを忘れていて、どこかに閉じ込められているらしい。
名前しか知らない人にそう言われても不審にしか思えないが、何故かエドガーの言葉ならすんなりと受け入れられた。
そして何より私自身もこの日常に違和感を覚えていた、ということもあってだった。
「咲良!」
私の名前を呼ぶ誰かの声がまた向こうから聞こえる。



