「「「「「咲良ぁ!!!」」」」」
5兄弟たちが必死でこちらに手を伸ばしている。
「…っ!!」
声を出したくても何故か出ず、私はますます焦った。
視界はどんどんぐにゃぐにゃになり、意識が保てなくなっていく。
魔界へ来た時は普通に扉を潜ってきたのだが、人間界へ帰る時はこんな気持ち悪い体験をしなければならないのか。
じゃなくて!
まだ5兄弟たちと居たい。
それが叶わないのならせめて別れの言葉だけでも!
そう思っても喋れない上に、視界はぐちゃぐちゃで今にも気を失いそうで、その願いでさえも叶えられそうにない。
人間界へ帰りたかったが、望んでいた形ではないこの状況に、私はあまり浮いた気持ちにはなれなかった。
さようなら、ヘンリー、エドガー、ギャレット、クラウス、バッカス。
今までいろいろありがとう。楽しかったよ。
言葉では言えないからせめて心の中で。
そして私は意識を手放した。



