「ちょっとずつ僕から離れて、その分ヘンリーたちと一緒に居て!」
テオの瞳には激しい嫉妬の感情があった。
まさかこんな風に思われていたとは知らずに私は驚いて余計に何も言えなくなる。
「特別だって言って。僕しか必要ないって」
そしてテオは最後に静かにそう言った。
これがあの優しかったミアなのか?
それとも冷たかった魔王なのか?
どちらにせよ、どちらからも想像できないほどの感情をぶつけられて困惑してしまう。
嫉妬だけでここまで変わってしまうものなのか?
「…テオ、私にはテオが必要だよ。だけど同じくらい…」
「何も言わないで」
私の答えを察したテオが私の言葉を冷たく遮る。
「…命令はいつでもできるから今はいいよ。さあ、咲良。人間界へおかえり」
「…っ!」
テオがそう言った瞬間、ぐにゃりと私の視界が大きく揺らいだ。
何!?
突然のことに驚くがただの人間である私にはもちろん何もできない。



