「契約者は契約している悪魔に絶対の〝命令〟ができる。咲良がヘンリーたちに魔界を滅ぼさないように命令してしまえば魔界は滅ぶことはない。だから咲良は今ここで彼らにそう命令するんだ。それが最後の仕上げだよ」
「…」
「大丈夫。どんなに気に食わない命令でも彼らは君を殺せない。だからこそ咲良、君が予言の人物なんだよ」
テオはそう言うと私の側までやって来た。
これで全部終わるんだ。
私が命令すれば魔界はヘンリーたち5兄弟に滅ぼされない。私も約束通り人間界へ帰れる。
だけどもう少しだけここに居たかった。
「咲良は呪文苦手だよね?僕が言うから後について言う?」
急な展開に追いつけず、呆けている私にテオが優しく何かを言っているがうまく聞き取れない。
「…咲良」
そんな私の名前をエドガーが突然呼んだ。



