「咲良の願いは人間界へ帰ることだよ。咲良はただの留学生じゃない。君たち5兄弟と契約する為に強制的に魔界へ連れて来られた人間なんだ」
「…は?」
テオの言葉にヘンリーが思わず声を漏らす。
今のヘンリーにはいつもの冷静沈着さはなく、状況をうまく飲み込めていない。
「…どういうことだ、テオ」
冷たい、テオを責めるようなヘンリーの声がこの静かな謁見の間に響いた。
「言葉の通りだよ。君たち5兄弟は近い将来、特級である絶対的な力と、己の欲望の為に、この魔界を滅ぼすと予言されている。
その予言を現実のものにしない為の存在が咲良だよ。君たち全員と人間…ここでは咲良が契約を結ぶことによってこの予言は回避できるとも予言されている。
そして咲良は君たち全員と契約を結ぶことが人間界へ帰れる条件だと僕に言われていたんだよ」
テオは冷たい笑顔を浮かべて今までの全てを話した。



