この口ぶりからしてテオはミアとしてヘンリーとの契約の有無を聞いたあの時にはすでに全てをわかっていたのだ。
「…テオ、咲良の嘘とはどう言うことだ?」
黙ったままの私を見かねてか、不思議そうにヘンリーが口を開いた。
「…ヘンリー」
いつものように笑っているテオだがその笑顔はどこか仄暗く、一目で普通ではないことがわかる。
きっと私の嘘に怒っているに違いない。
私の言葉で早く弁明をしないと。
「…テ」
「ヘンリー、君は咲良と契約をしているね?」
何とか言葉を発そうとするとそれをテオが遮った。
「?ああ、そうだ」
ヘンリーはテオの質問の意図が掴めず未だに不思議そうに返事をしている。
ああ、やっぱりテオはわかっていたんだ。
もう私の嘘に怒っていることは確定事項だ。



