***** 「咲良、どうして僕に嘘を付いたの?」 ミアに契約のことを聞かれて数日。 バイト先の女友だちのミアではなく魔王としてテオは私にそう問いかけた。 とても寂しそうな笑みを浮かべて。 「…」 まずは何を言えばいいのかわからず私は黙ったままその場に立ち尽くす。 ここは魔王城の謁見の間。 5兄弟たちと私はテオに呼ばれてここへ全員で来ていた。 テオが言っている〝嘘〟とは一つしかない。 …ヘンリーとの契約のことだ。 私がテオに嘘をついたことと言えばこのことだけだ。