「いーや!目を覚ませ!」


友人と喉が潰れそうなほどカラオケを楽しみ、別れたところで私は自分の頬を両手で叩いた。

さすがに長居をしすぎた。
いや、楽しいし何より充実していたのでつい。


「目覚めろ!私!」


私の本来の目的なんだ。
ここで永遠に幸せに過ごすことじゃないはずだ。


ここは確かに楽しいが所詮作られたものに過ぎない。


私は帰りたい。
まずはここから帰って、それから人間界に。

ここは私の帰る場所じゃない!


「咲良?どうしたの?明日も同じ講義受けるよね?」

「咲良ちゃん。明日の夕方から空いてる?よかったらお茶でもしない?」


欲望を振り払おうとしている私の前に友人と憧れの先輩が現れる。


何て魅力的な存在だ。
それでも彼らも私の欲望が生み出した何でもない存在。