「ああ、愛らしい僕の子猫ちゃんたち。もっと僕の為に鳴いて?」
歯の浮くような甘い台詞を言っているクラウスに見つからないように私は自分の存在感を消してさっさとその場を後にしようとした。
したのだが。
「あれ?咲良?」
クラウスに見つかってしまった為それは叶わなかった。
「こっちにおいでよ、咲良。一緒に呑もう?」
にこにこと甘い笑みを浮かべているクラウスの誘いを断りたいがクラウスとはまだ契約を結べていない。
苦手だが良好な関係を築くことが契約への第一歩なのだ。
「…ありがとうございます、ぜひ」
にっこりとクラウスに微笑む。
気分は気が全く進まない取引先との断れない飲み会にお呼ばれした時のものだった。
ああ、気が重い。



