「帰ろ」 「今は無理」 「どうしてもか?」 「…どうしても」 まるで捨てられた子犬のような目でバッカスに見つめられて心が痛くなる。 心を痛める必要なんてどこにもないはずなのに、なんだこの痛みは。 ずるいぞ、バッカス。ずるいぞ、美形。 「…じゃあ待ってる」 「…」 なかなか強くバッカスを跳ね除けれない私にバッカスは無表情でそう言った。