夢ならば覚めて欲しいと何度も願った。
だが目覚めて周りを何度見渡しても、そこに広がっていたのは見慣れた私の部屋ではなく、見慣れない薄汚い小さな部屋だった。


はーい!私、桐堂咲良!24歳!
社会人4年目!今日も元気に会社に出社しまーす!


と言えないのが現状で。

昨晩のことは夢ではなかった。目を覚まして部屋の中を何度も何度も歩いて改めて今の状況を飲み込んだ。


それからとりあえずいつものように身支度を整え始めた。

顔を洗った後カバンにたまたま入っていた携帯用のスキンケア用品で何とか肌を整えて制服に着替える。

赤と黒のブレザーの制服を着た感想はコスプレだ。24歳ではとてもじゃないが着こなせない。

不満しかないが仕方ないのでそのまま今度はメイクを始める。これもまたカバンにいつも入れていた必要最低限のメイク用品で顔を仕上げた。