最初こそ末代まで呪ってやるぞ、と5兄弟たちに思っていた私だったが、今は変わった。

結局私は彼らと良好な関係を築くこと以外で人間界へ帰れる方法を知らない。
帰りたければ、5兄弟たちが変わらず、今のままであるのなら、なるべく穏便に過ごした方がいい。

5兄弟たちの態度が何故急に変わったのかはわからない。
だがこちらにとっては非常に都合がいいことには変わりないので私は以前と同じように5兄弟たちと関わっていこうと思った。



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「やあ、咲良、久しぶりだね。変わりはないか?」


私の目の前で優しく笑う魔王。
魔界に来て以来、一度も会ったことも、姿さえも見たこともなかったこの薄情、二重人格魔王は今、5兄弟の家の応接室にいる。

10分前ほど前、いきなりヘンリーに呼ばれて応接室へ来た私。そんな私にヘンリーは「あと10分後にテオ…魔王様が来る。咲良に会いたいらしい」と突然言ってきた。

で、今、目の前に幼い顔と尊大な態度がミスマッチしている美しい魔王がいる。