「外泊の許可も貰ったけど、どうする?俺のマンションに泊まる?」

「泊まりません」

今日会ったばかりで泊まれるわけないでしょ、何を考えているんだろうと驚きすぎて着いて行けないと思った。

「残念、じゃあ、新居見るだけ見て貰おうかな」

食事が終わると、彼のマンションに案内された。

凄いタワーマンション、まるで高級ホテルを思わせる佇まいだ、入り口のオートロックを開錠して中に入ると、コンシェルジュが挨拶してくれた。

「当マンションのコンシェルジュ牧野と申します、戸倉様にはいつもお世話になっております」

「はじめまして、葉村美鈴と申します」

「美鈴は俺と結婚してここに住むからよろしくな」

「左様でございますか、おめでとうございます」

私は慌てて訂正しようとしたが、彼は透かさず私の手を握ってエレベーターへ向かった。

「私はまだお返事はしていません」

「美鈴が断るとお父さんの会社が倒産しちゃうよ」

「脅迫するんですか」

私はちょっとカチンと来た。