「あのう、結婚相手、妹と間違えていませんか」

「間違えてないよ、俺が結婚したいのは美鈴だよ」

また、美鈴って呼び捨てにされて心臓の鼓動が加速し始めた。

「新居は俺のマンションでいいよな、食事終わったら案内するから」

えっ?彼のマンション?いきなり急すぎでしょ。

なんとか帰る方向に持っていかないと。

「私、帰ります、門限が……」

「門限?」

もっとまともな嘘がつけないのかと自分の愚かさに情けないと感じた。

彼はスマホを取り出すと電話をかけはじめた。

『戸倉です、今美鈴さんと食事をしているのですが、これから新居になる自分のマンションへ案内しようかと思っています、門限があるとお聞きして、少し遅くなってもよろしいでしょうか』

『はい、わかりました、では後ほどお送り致します』

彼はスマホをテーブルの上に置いた。

「門限ないから大丈夫ですってお父さんの許しを貰ったよ」

私は嘘がバレたと恥ずかしくなり俯いた。