妹は怪訝そうな表情で納得が行っていない様子を見せた。

妹は私の元へやって来た。

「お姉ちゃん、戸倉さんが結婚したいのはお姉ちゃんだって」

妹の言葉に呆然と立ち尽くした。

「お父さんが早く着替えて降りてくるようにって」

母も慌てて駆けつけた。

「美鈴、早く着替えて、結婚する最後のチャンスよ」

ちょっと待ってよ、どう言う事?相手は戸倉建設御曹司、しかも二十五歳?

私、初対面だよね、何で?父の会社の借金を払ってくれて、冴えないアラフォーの娘を貰ってくれて、戸倉さんに何のメリットがあるの?

私は頭を整理出来ないまま急いで着替えるように促された。

「もう、お姉ちゃん、口紅はこれ使って」

そう言って私に淡いピンクの口紅を手渡してくれたのは妹だった。

同じ母親から産まれたのに全てが真弱の私と妹。

いつも私はこのうちの中で厄介者だった。
何の役にも立たない、せめて家計を支える位しかなかった。