公然の秘密

柚愛は目を開けた。

(ーー私、何があったんだろう…?)

クリーニング店を出てスーパーマーケットへ行こうとしたのは覚えている。

「ーー気がついたか?」

「ーーえっ…?」

聞き覚えがあるその声に、柚愛は恐る恐るそちらの方へと視線を向けた。

「何で…?」

「久しぶりだな、柚愛」

そこにいたのは、弘人だった。

自分が今いる場所は…どこなのだろうか?

「な…何なんですか?」

柚愛は言った。

「私、あなたと別れましたよね?

結婚してくれない、将来が見えなくなった、子供が欲しいと思えなくなったからって、そう言いましたよね?」

そう言った柚愛に、
「…まだそんなことを言ってるのか」
と、弘人は呆れた様子だった。

呆れたいのはこっちの方だ。