公然の秘密

同じ頃、尾関はオフィスビルの小会議室にいた。

「以上でお願いします」

「本日はありがとうございました」

番組のプロデューサーとの打ちあわせを終えると、尾関は小会議室を後にした。

オフィスビルを後にすると、シャツの胸ポケットに入れていたスマートフォンが震えた。

画面を見て確認をすると、警察関係の知りあいからだった。

何かあったのだろうか?

そう思いながら尾関は画面を指でタップすると、スマートフォンを耳に当てた。

「もしもし?」

「ああ、尾関くん?」

「何かわかったことがあったのか?」

尾関がそう聞いたら、
「そうなんだ、今から大丈夫?」
と、彼は聞き返してきた。

「今、打ちあわせが終わったところだから大丈夫だ。

どこへ向かえばいい?」

場所を聞くと、尾関は「わかった、すぐに向かう」と返事をしてスマートフォンを耳から離した。