「ーーああ、夢か…」

見なれた天井に弘人は呟くと躰を起こした。

枕元で充電しているスマートフォンを手に取って時間の確認をすると、3時を過ぎたところだった。

午後ではなく、午前のだ。

弘人は息を吐くと、横になった。

もう見ることはないと思っていたのに…。

少なくとも10年以上は実家にも帰っていなければ、両親とも連絡を取りあっていない。

両親がどこで何をしているのか、生きているのか死んでいるのかもわからない。

「ーーもう嫌だ…」

弘人は呟くと、自分を守るように躰を丸めた。

何もかも断ち切って、過去は全部捨てたはずなのに…自分はいつまで、この状況に苦しみ続けるのだろうか?

先の見えない状況に弘人は両手で頭を抱えたくなった。