蒼の花と荒れる野獣 番外編



和佳菜の瞳は大きく揺れて、それからそらされた。


「…っある、けど」


そう、彼女は嘘をつかない。


嘘つきが嫌いな、彼女だから、信用してる。


「けど、なんだって?」


「言わないっ」


「は?」


そこまで言っといて、それはないだろ。


「なんで」


「言わないから」


「理由になってねえ」


「言わないって言うのが理由」


「…意味わかんねえ」


このやろ。


「もっかいヤりたいって?」


「へ?」


「そっかそっか。そーなら、早く言えよ」


いやいやいや、と和佳菜は首を振るが知ったこっちゃない。


「もう無理だって言ったよね…?」


「んー?なんも聞こえないなあ」


「それは聞こえてる人が言うから!」


「…しーらね」


「ちょっと!」


抵抗は唇で止める。


そういうこと。


「んぅ…っんん」


「…なあ、なんで俺に言わねえんだよ」


疎外感が否めねえ。


「…もう、ちょっと」


「ん?」


「もうちょっと、したら、…わかるから」


ふやけたカオで笑うから。


俺も釣られて笑ってしまった。


「へぇ、…じゃあそれを待ってますか」


「…うん、ありがとう」


和佳菜のことだから、変なことはしないだろう。


万が一のことが起こったとしても、もう千夏の時みたく諦めたりしない。



信用している俺の唯一の存在を。


簡単に離したりしねえ。




次に終えたその時には、もう当たりが明るくなっていた。