「ほんとに暑かったっすね」
汗だくになった陽太は、あたしより随分代謝がいい。
20分ほど歩いた先にある雑貨屋さんは、最近見つけたあたしのお気に入りの場所だ。
「言ったでしょう?今日は暑くなるって」
「聞きましたけど、こんなだとは思わないじゃないすか」
店内に入ってなお、汗を拭うこの男はどうやら夏が嫌いらしい。
じゃあなんでついてきたの?と聞いたら。
姫が行くところにはどこにでもお供しますよ。
と紳士的なことを言われた。
…本当にどこまでも、仁の背中を追いかけているわね。
「ご苦労様。じゃあ、好きなアイスを選んでおいで」
「まじすか!やった!」
でも、目を輝かせてアイスケースに走るところはまだまだこどもらしい。
雑貨屋さんはアイスも売っている。
好みのものがあるかは、あたしの知るところではないが、彼はあたしの好意をむげにするタイプではない。
楽しそうにアイスクリームを選ぶ陽太を横目に、あたしはレターセットのコーナーに向かった。
白や黄色など色とりどりのレターセットが並ぶ。
「ピンクは可愛いけど、ご夫妻が読むものだし…」
「ご夫妻、ですか?」
「…陽太、いつからいたの。驚くじゃない」
「一瞬も声が高くならない和佳菜さんに言われても信用できないっす」
それもそうか、あたしはそういうところ顔に出ないものなのよね。
これでも、かなり驚いているのだけど。



