茶色の形をした何かは、何かであることしか分からない。
「どう見たって、枯れているわね」
「そうだね」
「それに崩れすぎているわね。これが桜の花弁であった根拠は何ひとつあげられないわよ」
「成分を分析すればいけるんじゃない?」
「これだけのために分析機を用いるバカはここにはいないわ」
「そうかも」
うんうん、と頷くこの男は本当に頭がおかしくなったのだろうか?
はあ、と深いため息をつくあたしに不思議そうな顔をするこの男は、あたしが何故ため息をついたかなど到底分からないのだろう。
「…翔」
「なにー?」
「お土産をくれる気持ちはありがたいわ。ただ、桜の花弁ではないものが欲しいわ」
「花弁って?」
「はなびらのことよ」
「なんで、はなびらじゃだめなの?」
この男!本当に理由が分からないの?
きょとん、とした顔であたしの顔を見つめるこの男にこんなにも怒りが湧き上がってきたことはあっただろうか。
「翔!」
「えー?和佳菜ーなんでー?」
そんなことを言いながら、くつくつと肩を振るわせる翔の意図がようやく分かる。
この男、あたしを面白がっているのね!
「分かっているでしょう!ねえ!」
あたしの叫び声なんか気にもとめないこの男。
「和佳菜ったら、おもしろーい」
カタカタ笑い出した翔は、あたし達がいる幹部室からで出ていった。
早く翔が大人になることを祈りながら、これ以上バラバラにならないように丁寧に透明の袋に入れた。



