「ちょっと相談したいことがあるんだけど」


「相談?」


『あるよ』
 してしまった、返事を。
 時間がある、と。

 そのことに『どうしよう』。
 そう思っていると。
 拓生くんが言った。
『相談したいことがある』と。


 珍しい。
 拓生くんが相談なんて。

 どういう相談なのだろう。


「うん。それでさ……
 来てほしいんだ、俺の家に」


「拓生くんの家に?」


 拓生くんの家。

 その言葉を聞いた。
 そのとき。
 動揺した、ものすごく。





 今までなら。
 しなかった、動揺は。
 拓生くんにそう言われても。

 拓生くんの家に行く。
 そのことは、そんなに抵抗はなかったから。



 だけど。
 違う、今は。

 拓生くんの家に一人で行く。
 そのことは、かなりの抵抗を感じる。


 拓生くんと二人で会わないでほしい。
 一輝くんにそう言われて。

 それからは。
 友達でも男子の家に行く。
 そのことに抵抗を感じるようになってしまった。







 それに。
 拓生くんに想いを打ち明けられ。
 そのときから拓生くんのことを……。
 ……意識……するようになってしまった。


 そういうこともあり。
 今は拓生くんの家に行きづらい。
 そういう気持ちがある。



 だけど。
 今までは拓生くんの家に行っていた。
 それなのに、いきなり行かなくなる。
 それも不自然なのかもしれない。


「外では相談しづらいことなんだ」


 それに。
 拓生くんには何かとお世話になっている。
 テスト勉強も含めて。


「うん、わかった」


 だから。
 拓生くんの相談を聞く。

 そのために行くことにした。
 拓生くんの家に。