「ごめんね、一輝くん」


 申し訳ない。
 そう思っていた。

 そうしたら。
 謝っていた、自然に。
 一輝くんに。


「なんで結菜ちゃんが謝るの?」


「私も悪いところがあったから」


「そんなことないよ、
 結菜ちゃんは全然悪くない」


 本当に優しいな、一輝くんは。


「だけど私は
 一輝くんのことを不安にさせてしまった」


 一輝くんに不安な気持ちや悲しい気持ち。
 それらの気持ちを抱えてほしくない。


 一輝くんには、いつも笑顔でいてほしいから。


「ありがとう、結菜ちゃん。
 僕のことを気にかけてくれて」


 戻ってきてくれた。
 一輝くんの笑顔。

 やっぱり。
 一輝くんの笑顔。
 見ていたい、ずっと。



 そう思っていると。
 一輝くんは指で拭ってくれた。
 私の頬に伝う涙を。





 そのあと。
 一輝くんの唇が私の唇に重なった。



 今は、さっきのように激しくて荒いキスではなく。
 心のこもった一輝くんのやさしさを感じるキス。


 心地良い。

 一輝くんのやさしいキス。

 とろけるような甘いキス。



 そんな一輝くんの甘いキスに溺れていた。