* * *


 夕食後。


 一輝くんと一緒に夜の散歩をしている。





 部屋から出て。
 歩く、外を。
 一輝くんと一緒に。


 それは。
 躊躇してしまう、少しだけ。

 誰かに見られてしまうかもしれないから。



 だけど。
 思った、キリがないと。
 そんなことをいつまでも思っていても。

 だから、することにした。
 一輝くんと夜の散歩を。







 六月中旬。


 梅雨の時期。
 そういうこともあり。
 ジメジメしている日が多い。



 だけど今日は梅雨も一休み。

 梅雨ではないくらい。
 スッキリとした夜空。





 そんな夜空の下。
 歩いている、ゆっくりと。
 一輝くんと二人で。



 穏やかに吹く風。

 そんな風に包まれるように。
 緑の葉たちもやさしく揺れている。


 そのとき。
 葉っぱ同士がやさしく触れ合い。
 心地良い歌声を生み出している。



 癒される。
 葉っぱたちの歌声。



「結菜ちゃん、
 外、気持ちいいね」


 自然たちが生み出す空間。
 そんな空間に癒されている。

 それから風も気持ちいい。


 同じ気持ち、一輝くんと。


「そうだね」


 だから。
 私も一輝くんと同じ穏やかな表情(かお)でそう言った。





 それからしばらく歩いていると。
 見えてきた、公園が。


 私と一輝くんは公園(その)の中に入った。